3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(中1)ひめ(小3)ちび(年中))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

自分にとって理想の働き方とは?「やまのかいしゃ」

こんにちは。

「プゼレント」、「とうもころし」、「きみみどり」。たくさんの言い間違いをしてきたひめはピアノが好きで毎日練習しているのに未だに楽譜のことを「がふく」と言います。産まれてから1つも言い間違いのないにーさんとの違いはいったい何なんだろうと思うくるみです。

 

読み聞かせの本を選ぶ時、毎回子どもたちそれぞれが好きそうな本を探します。

 

にーさんには科学の絵本や小学生向けの読み応えのある絵本。

ひめには女の子らしい可愛い絵や、明るいストーリーの絵本。

ちびには赤ちゃん向けの絵本。

 

けれど、にーさんのための絵本をひめが気に入ったり、意味がわからないながらもちびが指差して笑ったり、意外な反応をすることも多くあり、読んでみないとわからないものだなあと感じています。

 

今日の絵本も思いの外反応が良くて驚いた絵本です。

珍しく大人が主人公で、子供たちの目にはどう映るかと思っていたのですが、意外にもにーさんもひめも楽しんでとても気に入っていました。

 

新鮮な空気を吸って働きたい

会社員のほげたさんがいつものように寝坊して、会社に出掛けたところ、電車は逆方向、靴もメガネもカバンも忘れ、山奥の駅に着いてしまいます。途方にくれたほげたさんは山の会社に行くことに……

 

毎日の通勤ラッシュに灼熱のコンクリートもしくは冷たいビル風…そんな都会へ通うサラリーマンという現実からの逃避行。

 

トイレのスリッパを履いて家を出てしまっていたり、慌てて間違えたおにぎりの具など、とぼけたほげたさんが面白くてのんびり読めます。

 

ところが、途中の「やまのかいしゃがぜんぜんもうからないので」という一文にハッとしました。

 

そこは目をつぶって、「山の会社っていいね!」ではないのか??

 

社長の対応も興味深いのです。

ほげたさんを辞めさせるでも、注意するでもなく、山の会社を任せるという社長。

儲からないというのに…

 

社長にとっては儲からないことが問題ではあるが、毎日満員電車に乗って通うことの方が問題だというほげたさんも社員として受け入れる、ということでしょうか。

 

それぞれ個人の趣向に合った働き方ができる、理想的な話ともいえそうです。

 

個人の喜びより効率化を優先している社会で、働き方を考えるきっかけにもなるかもしれません。

 

ただ、現実にはやはり、儲からないという問題はどのように解消されるのかが課題になってくるような…

 

主婦の私としては、ほげたさんの妻の気持ちになり、ほげたさんがもう戻っては来られない場所に行ってしまったような気がして心がザワザワしながら本を閉じました。

 

にーさんは「ほげたさん」「ほいさくん」という響きが気に入り、聞くたびにニヤニヤして嬉しそうでした。

ひめは山の賑やかな絵に心奪われてじーっと見つめていました。

 

子供たちはただただ絵本のユーモアと愉快な絵を楽しんだようです。

 

絵本の世界に現実世界を持ち込んであれこれ考えるは野暮かもしれません。

でも、大人も子供もそれぞれ何かを感じて考えられるのも絵本の魅力ですね。

 

皆さんはどんな気持ちになるでしょうか。

良かったら読んでみて下さい。

やまのかいしゃ (日本傑作絵本シリーズ)

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