3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(中1)ひめ(小3)ちび(年中))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

幸せかどうかを決めるのは自分「ひとりぼっちのかいぶつといしのうさぎ」

こんにちは。

今年は暖冬です。それは認めます。

でも寒いものは寒い!!

寒いよ〜と呻いていたら、「あったかい〇〇ちゃん(ちび)をママにあげる」と抱っこしてきたちびに、「ほれてまうやろ〜!」と心が温まったくるみです。

抱っこしてもらう作戦としてはうますぎます。

 

絵本を読んでも大抵は温かい気持ちになれます。

面白かったり、可愛かったり、懐かしかったり。

 

私は読書も好きなのですが、大人向けの本はハッピーエンドとは限らず、読後に考えさせられたり、嫌な気持ちになったり、行き場のない怒りや不安を抱えてヤキモキすることも多いです。

 

その点、絵本は、子供向けが多いせいもあって、前向きな気持ちで読み終えることができます。

たとえ現実のひどさを見せつけられるような絵本でも、そこから何か改善しようという意志が持てるような、そんな本が多いと思うのですが…

 

この絵本は衝撃でした。鳥肌が立ちました。

救いがない…

切なすぎる…

 

ちょっと読むのに勇気がいる1冊です。

 

怪物は幸せだったのかな…

世界で1番醜い怪物が住む洞窟。

その醜さにあらゆる動物は逃げ、草木は枯れ、怪物が寂しくて彫った石の像までもが粉々に。

けれど、ひとつだけ残ったうさぎの像。

それが怪物の心の拠り所となり…

 

怪物の醜さといったら、ちびも「こわい!!やだ!!よまないで!!」と表紙を見て叫びながら去っていったくらい。

その後離れた所にいながらも、「それやめて!」と怒っていたくらい。

 

そのくらい、醜いのです。

 

だからって。

 

動物だけでなく、植物、そして無機物までもが共存できないなんて...

 

しかも、うすうすそんな気はしていたのですが、この怪物、心は優しいんです。

 

そういう場合は、誰かが認めてくれたり、最終的に、避けてた方が申し訳なかったって気付くストーリーが多いのですが…

そんなに甘くはありません。

 

怪物にとっての救いはただ石のうさぎがいてくれることだけなのです。

 

最後の最後まで、とにかく切ないです。

 

最初はぎょっとしていたひめも、歌ったり踊ったりする怪物にすっかり心を許していました。

見かけに慣れてくるとその醜い外見さえ可愛く思えてきます。

豊かな表情もとても愛らしく感じます。

 

そうなると、ますます怪物が不憫で仕方なくなるのです。

うさぎといっても石でできたうさぎです。

一緒に歌ってくれることもなければ笑ってもくれない、石のうさぎです。

 

けれど、楽天家のひめは、「うさぎさんがいて良かったね!」という感想。

 

それを聞いて、急に世界が変わって見えました。

確かに怪物もそれで幸せそうだったんだから、それが全てなのかもしれません。

 

他の石が砕けた状況での石のうさぎは、怪物にとっては生物と同然なのかもしれない。

友達のように感じていたのだから、毎日が楽しかったのかもしれない。

怪物の心の目では、うさぎは笑ってくれていたのかな。

生物でなければ、裏切ることも離れていくこともないですし。

 

なんて、結局また怪物の気持ちを自分の理屈で想像する私ですが、幸せかどうかなんて、他人が判断する問題ではありません。

自分以外の誰かが幸せかどうか、考えること自体が、エゴなのかもしれない。

 

怪物も、なんてかわいそうなんだろう!と思われるより、石のうさぎがいてくれていい人生だったね、って思われた方が嬉しいかもしれないな。

 

そんなことを読み終えた後、ぐるぐるぐるぐると考えています。

強烈な余韻を残す1冊でした。

ぜひ、読んでみて下さい。

ひとりぼっちのかいぶつといしのうさぎ

ひとりぼっちのかいぶつといしのうさぎ