3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(中1)ひめ(小3)ちび(年中))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

あなたは何がすきかしら?「わたしのすきなもの」

こんにちは。

♪明かりをつけましょ もものはな〜♪

あれ?ぼんぼりは?ちびが歌うと歌があっという間に終わってしまいます。

ひな祭りは毎年ちらし寿司の素に感謝のくるみです。

 

先日、母と話していたら、今日感じた幸せを3つ書く日記を始めた、とのこと。

後ろ向きで愚痴ばかりだった母が自分の力で何かを変えようとしていることに、感動をしながら話を聞きました。

 

けれど、やはりネガティブな母らしく、全然思い付かなくてストレスを感じているらしいのです。(結局、愚痴(笑))

 

負けじとネガティブな私も、実は以前その方法で日記を付けたことがあり、あっという間に挫折しています。

 

幸せを感じることのバリエーションが少ないのです。

 

母は食べ物ネタがほとんどだと言っていました。

私は子供の成長か健康のことだったと思います。

 

今思うと、「幸せ」って言葉が特別感が強すぎるからだと思うのです。

 

例えば、食べて幸せを感じる食べ物、というと、予約して行ったレストランの一皿とか、ずっと我慢していたチョコレート、お風呂上がりののビールだとか、もしくは思い出の〇〇のような思い入れのある味を連想してしまいます。

 

日記に書くのは「すき」くらいがいいのではないでしょうか。

 

すきな食べ物なら、梅干し、炊きたてのご飯、まだ青いバナナ、ふたについた少し固めのヨーグルト…など、幸せ〜ってほどじゃなくても地味でも毎日食べていても何でもいくらでもあげられます。

 

そして、不思議なことに、自分が好きなものをリストにして眺めているだけで、気分は上がります。

 

そのことに気づいたのは、この絵本のおかげです。

好きなものを並べただけなのに、嬉しくなっちゃう絵本です。

 

あなたは何がすきかしら?

おいしいものがすき。ピクニックがすき。なつやすみがすき。あなたは何がすきかしら?好きなものがたくさんあるってとっても嬉しい。好きなものを見つけるととっても楽しい。心地よい言葉と優しくて温かな絵で綴られた絵本です。

 

女の子が自分の好きなものをあげていきます。

いきものがすき、うちのねこのミネットがすき、ひとがすき。

すきなものについて語る女の子はとても嬉しそうに見えます。

 

そして、そのリストを見ると、女の子の人となりがみえてきます。

どんな生活を送っているのかを想像することができます。

 

何がすきかということは個性です。

誰かを知るためには、その人のすきを知るのが1番。

 

自分と同じで共感したり、自分と違って驚いたり、目にもとめなかったものに目を向けたり。

人の好きを知るのって面白いです。

 

たくさんのすきを並べて女の子は言います。

 ほらね わたし すきなものが こんなに いっぱい あるの

あなたの すきなものは なあに?

 

ひめ「図工でしょ、あとチョコと、スポンジボブ、あと、パパと…」

ちび「うさぎ、ねこ、おやつ、ドラえもん、パパ、…」

好きなものがあることって嬉しい。

幸せなんておおげさじゃなくても好きを絵本にして眺めたら、毎日楽しい気持ちになるでしょう。

すきは生きる原動力。希望を感じます。

 

家族でそれぞれ作ってみてもいいかもしれませんね。

みなさんもぜひ。

わたしのすきなもの

わたしのすきなもの

 

 

自然って、いいなぁ!「つばきレストラン」

こんにちは。

もう3学期が終わってしまうのでしょうか。

地に足が付いていないようなふわふわとした状態ですが、平常心を忘れずに、自分にやれることを落ち着いてやろうと深呼吸するくるみです。

生きているといろいろなことがありますね。

 

さて。

12月にレース糸で椿の花のピアスを作り、気に入ってよく付けています。

花の少ない季節に真っ赤な花を咲かせて冬空を彩る、椿。

椿油など、髪に優しいイメージも相まって、女性らしい華麗な印象の花です。

ぽとっと花が落ちる姿は少し不吉ですが、潔い姿に芯のある美しさも感じます。

 

花を育てたり、家の中に飾るのは苦手なのですが(私の手にかかるとすぐ枯らしてしまうので…)、花を見るのは大好きな私。

近所に咲く椿に立ち止まり、パワーをもらっています。

 

心落ち着かないこのごろは、人混みを避けて、お散歩もいいですね。

 

小鳥のためのレストラン

冷たい風が吹いてくる寒い寒い冬につばきレストランは開店します。メニューは1つ。花の蜜。チルチルチルチル。お客さんがやってきました。鳥と花の関係に目を向け、自然の尊さに気付かされる絵本です。

 

冬の寒い間に甘い蜜を提供してくれる椿。

レストランという表現によって、鳥にも花にも気持ちを寄せることができます。

 

椿にとって、鳥はお客さん。

「甘い蜜ここにあるよ、うちは寒い日も営業中だよ。どうぞゆっくり食べていってね」という店主のような感じかな。

 

鳥にとって、椿はレストラン。

冬の空気を羽根で切り、「ああ、寒いね、今日も。ちょっと温かいものでも食べていこう。やってる?」みたいな?

 

身近な場所で、そんな商いが成立していると思うと楽しくなります。

 

私達にとっては冬の寒さに映える美しい椿。

鳥にとっては、寒い中営業している屋台のように見えるのかもしれません。

 

ひめは、「ほんとにつばきがレストランってことなんだね。つばきって名前のレストランの話かと思った!」といっていました。

つばきレストラン、ってレストランもなんだかいいな。読んでみたい。

 

私は、表紙の絵が好きです。

字のフォントのデザインも素敵です。

 

暖房や防寒具などない生き物が、寒い冬を超えるということ。

助け合って生きている自然の摂理に感服します。

 

著者の方の説明書きにもあるように、「自然って、いいなぁ!」と感じさせてくれる絵本でした。

 

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つばきレストラン|福音館書店

群れの中にも個性あり「むれ」

こんにちは。

幼稚園のお友達についてクイズを出すのが好きなちびから、「いま、おとなりのせきは、だれでしょうか?」と出題されました。なかなか当てられないのでヒントをもらうことに。

「さいしょは『あ』だよ」

「うーん。あ…あ…誰だっけ?わからないなぁ。」

「じゃあ、さいごのもじはね……」

もう1つヒントをくれようとするちびですが、最後の文字を考えるのはレベルが高いようです。

しばらく待っていたら、「わかった!」と叫び、

「『くん』だ!!」

と勢いよく言いました。

1文字でもないし…(笑)

つい笑ってしまい、怒られたくるみです。

(ちびは笑われるのが大嫌いなのです(汗))

 

さて。

さいころ、家族で動物の番組をよく見ていました。

記憶に残っているのはヌーの群れが川を渡る様子。

岩に似た、見たこともない角の生えた牛のような動物が、数え切れないほど集まってひしめき合っていた映像。

「角が当たって痛くないのなぁ」「小さい子は渡れるのかな」

と心がざわざわしました。

あんなに命がけで大移動するなんて、動物はなんて大変なんだろう。

 

時を経て、学生の頃、学校が都心にあり、毎日電車で通っていました。

ラッシュよりも少し早い時間でも、かなりの人の量でした。

 遅延が発生したとき、下ってきた階段から見たホームは、ヌーの群れ以上の人・人・人。

ああ。人間も毎日群れで大移動しているんだ、と思ったものです。

 

今はありがたいことに満員電車とは無縁の生活ですが、考えてみれば幼稚園の送迎で集まるママたちも群れですね。

 

集まって同じ行動をする、これは動物の習性なのでしょうか。

 

あまり群れない私ですが(単に友達が少ない)、今日は群れにまつわる絵本です。

 

透明人間の群れを想像して

よのなかにはさまざまなむれがあります。羊の群れ、きりんの群れ、魚の群れ…あれあれ、おばけの群れ?宇宙人の群れ?雨の群れ?途中から不思議な群れになっていき…。群れの中に1つ混じった変わり者を見つける絵探しが面白く、最後の多様なありの群れを眺めるだけでも楽しい絵本です。

 

表紙では、アリが人文字ならぬアリ文字を作ってくれています。

 「むれってなに?」

 ひめが聞きます。

ああ、そうか。そこからか。

 

まずは羊の群れ。

手書きのイラストのような羊がたくさんかかれています。

 いっぴきだけ けが ありません。

「どこ?どこ?」「あ!ほんとだ!!」

絵探しができる絵本でした。

コツをつかんだ子どもたちは、次も探す気まんまん。

絵探しものはうちでは鉄板です。 

 

そんな感じにただただ進んでいくのかと思っていたら、お化けの群れ、透明人間の群れ、雨の群れ…!?

無生物まで現れて、ただの絵探しじゃない!

透明人間の群れって!見えないものを見る心が試されています。

 

さらっと試し読みしたときには、見つけられなかった宇宙人のページも、ひめは「これだ!ほら、周りと違うでしょ?ぜったいこれが『ぴぽぷぽぺ』!」としっかり見つけていました。(謎の『ぴぽぷぽぺ』、ぜひ読んで探してみて下さい。)

子どもの好奇心と興味の力はすごいなぁと感心します。

それを引き出す絵本の力ももちろんすごいです。

 

群れから1匹違う方向へ進んだアリが出会う先は、個性豊かなアリの群れ。

頭・胸・腹の3つの部分が、いろいろな形に変化した、実際にはいない創作のアリたちです。

このページも面白く鮮やかなページ、子ども達を惹きつけるページです。

「おだんごアリはどこでしょう?」

「猫アリはどーこだ?」

勝手にクイズ大会です。

 

同時に、個性豊かなアリたちによって、「世界に1つだけの花」的な個性の魅力も感じます。

群れるのもいいけど、違う方向に歩くことで出会える花もある。

広い世界に飛び出せば、たくさんの未知の個性に会える。

 

そんなメッセージも読み取りつつ…とても楽しめる絵本でした。

 

手書きのかわいい字も印象的で、作者の方はどんな方だろうと思ったら、よしもとの芸人さんでした。

思えば、お笑いのフリップネタなんて、そのまま絵本になりそうですね。

逆に絵本を芸人さんの話術で読み聞かせしたら面白そうだなぁ、とも思いました。

次作も期待です。

むれ

むれ

 

 

ご注文は何にしますか?「おすしのずかん」

こんにちは。

体重がほとんど変わらないことに油断していたら、体型が変わっていたくるみです。

 

さて。

みなさんの家庭では外食といったら、どこにいくことが多いですか?

 

うちは、にーさんとひめの食の好みが真逆で意見が合わなくて困るのですが、そんな中でも、家族の誰もが満足できるお店といったら、回転ずしです。

 

突然ですが、私が選ぶ回転ずしのメリットベスト3!

 

第3位! 

 お皿が回ってたり、注文用のタブレットがあって、子どもたちを飽きさせない。

 

第2位!

 ラーメンまである品揃え。(ひめは麺派)

 

そして、第1位は!

 子供が自分で食べたいものを食べる分だけ注文できる。

 

なんか地味な1位。

けれど、これ、私にとってはとても重要。

 

ファミレスなどにいっても母親は、食べたいもの食べられませんよね?(うちだけ?)

 

子どもたちみんなが好きなもの頼んだら、

「思ってたのと違った」

「こんなに食べ切れない(だからお子様メニューから選べば良かったのに!)」

「やっぱり唐揚げが食べたかったな」

家では「出されたものを食べなさい」とガンとした態度の私も、久しぶりの外食でガッカリさせるなんてイヤだな…となって、「唐揚げくらい頼んじゃえば?」とつい言ってしまう。

テーブルには余る料理の数々。

夫は「無理して食べるのは体に良くない」などと、正論(?)を振りかざし、見て見ぬふり。

食べ物を残して捨てるなんてバチが当たるし私が食べるしかない…こんなことなら自分のを頼まなければ良かったな。

 

という経験を繰り返し、はじめから自分の分は頼まない、なんてことありませんか?

 

子供の食欲はムラが多く、予想外に何も残らなかったりして、私の分がなくなることもしばしば…。

 

なので、回転ずしが私は大好きです!(同様の理由でバイキング形式も好き)

自分の好きなものを食べられるのって最高です。

普通にお寿司美味しいですし!

 

今日は、みんな大好き、おすしの絵本です。

 

ご注文は何にしますか?

へい、いらっしゃい!ぺんぎんずしへようこそ。まぐろ、かつおなど赤いおすし。たい、ひらめなど白いおすし。穴子などの長いおすしに光り物。軍艦その他。おすしをわかりやすくジャンル分けして、それぞれがどんな生物からできているのかを図解してくれます。ユーモラスなペンギンたちもとても楽しい絵本です。

 

握ったお寿司の絵のページに

ごちゅうもんはなににしますか?

の呼びかけ。

絵で描かれたお寿司は丁寧に描写されていてどれも美味しそうです。

呼びかけに対してもちろん食べたいお寿司を選ぶ子どもたち。

子ども達の注文を待ってから、

かしこまりました。しょうしょうおまちください。

と、次のページを開くと、前のページのお寿司の材料になる魚たちの絵。

店員のペンギンたちが魚を捕まえようと海に潜っている様子が描かれています。

 

この本、大人でも勉強になります。

以前も白菜の花を見たことがないと言っていた私ですが、魚もさばくことのない日常。学生のころ調理実習でやったっきりです。

まぐろや鯛やうなぎは知ってるものの、スズキさん、わりと立派なヒレを持っていたのね…などなど。

知らないことばかり。

 

それぞれの魚に付いているい短い説明文のチョイスも絶妙です。

身体の特徴や名前の由来、食べ方など、内容に統一感を求めず、子どもにもわかりやすく魚ごとに興味をひく内容を選んでくれているので、面白く記憶に残ります。

「全長50㌢、生息インド洋…」などと本当の図鑑のように書かれても絵本としては退屈ですよね。

 

それぞれの魚の絵を眺めて、ひめとちびも、

「鼻すごいながーい!」(かじき)

「くちがながーい!」(さより)

と夢中になっていました。

 

回転ずしには魚介の他にもお肉や卵などのお寿司もありますね。

そんな「その他のお寿司」の次のページには…

あれれ、牛や豚が海の中で泳いでる!?

ひめとちびはこのページが楽し過ぎて全然先に進めませんでした。

 

 軍艦と巻物のページの最後には、ペンギンが巻かれちゃってる!

ちびは「これたのんで、まわりたべて、ペンギンさんだして、〇〇ちゃん(ちび)がだっこしてあげる」と張り切って注文。

「あと、これ3こ!」と1番大好きなイクラのお寿司もちゃっかり注文してましたけど。

 

遊び心いっぱいで、食育にもなる、とっても楽しい絵本でした。

同じシリーズで「パンのずかん」もあるそうです。絶対読みたい!

おすしのずかん (コドモエのえほん)

おすしのずかん (コドモエのえほん)

 

 

まっすぐってどういうこと?「ぼくはあるいた まっすぐまっすぐ」

こんにちは。

今更ながらはじめて「おにぎらず」を作ってみたくるみです。

ハマリそうです。

 

さて。

言語を習得中の子供たちのおしゃべりは楽しい勘違いだらけ。

中でも小1のひめは言い間違いが多く、「おっこちょこい(おっちょこちょい)」「がふく(楽譜)」「エベレーター」など、少し心配になるほどいまだに間違えます。

 

 

言葉の間違いと言えば、ちびがまだ小さいころ

三輪車に乗っていたちびに、私の母が言いました。

「前にぶつかっちゃうよ~!バック、バック!」

すると、ちびは後ろには行かず、さっと降りてバッグを取ってきて母に渡しました。

さらに、座り込んで何かしていたちびに、「ちょっと立っちして」と言う母。

手を上げてハイタッチしようとするちび。

 

全然かみ合っていない2人がほほえましかったです。

 

そんな勘違いは何度あっても楽しいですが、気を付けないと子供の言いたいことをわかってあげられないことも。

 

にーさんが幼稚園のころ。

 

「〇〇くんがぼくのこと、うどんくん、って言うのがイヤ」

と珍しく幼稚園のことを話してきたにーさん。

うどんくん、ってなんか可愛いし悪口じゃなさそう…と思いつつ、

「うどんくんって言われるのがイヤなんだね」と繰り返してみる私。

にーさん「うん、言い方がイヤ」

私「そっか。イヤだって言ってみた?」

にーさん「うん。言ったよ」

私「何度も言われるの?」

にーさん「ううん、1回だけ」

私「1回か…じゃあ、もうこれからは言わないかもしれないね。また言われたら教えて」

という会話がありました。

 

その数日後、またにーさんの口から同じことが。

私「また言われたの?2回目?あれから何度も言われてるの?」

にーさん「ううん。1回だよ」

私「ん?こないだ話してくれた時と、今日で2回言われただけ?」

にーさん「ううん」

私「昨日は言われた?」 

にーさん「うん。」

私「何度も言われるの?」

にーさん「ううん、1回だけ。」

 

よくよく聞いてみたところ、にーさんにとって、「何度も」=「同じ時にしつこく何回も」ということらしく、友達は会うたびに1度だけ言っては去っていくということでした。

初めて話してくれた時にはすでに何日も言われていたので、さらに何日も我慢していたらしいのです。

あまり話さないにーさんがわざわざ話してくれたのにかわいそうなことをしたなぁ、と思いました。

 

言葉で情報を共有することの難しさを知ったエピソードです。

 

大人でも同じことは言えますが、子供に話すときは特に言葉の捉え方の違いについて注意した方がいいですね。

 

今日の絵本は、子ども特有のまっすぐな言葉の捉え方がキラキラまぶしい一冊です。

 

まっすぐ歩くってこういうこと

おばあちゃんからの電話をとった男の子。おばあちゃんに教えてもらった通り、歩いておばあちゃんのお家に出かけることにしました。教わったのは「まっすぐ」。ぼくは歩きます。まっすぐまっすぐ…

 

まっすぐな線。まっすぐに帰る。まっすぐに育つ。

「まっすぐ」と聞いてどんなイメージが浮かぶでしょう。

 

この子にとっては「まっすぐ」とは少しも曲がることない定規のような直線だったのでしょう。

 

おばあちゃんの家を目指す男の子は「まっすぐ」という言葉を頼りに道路を進みます。

途中から田舎道になっても、とにかくまっすぐまっすぐ…

あれれ…道から外れちゃってる!

だって道が曲がってるんだもん。

男の子はちゃんとまっすぐ歩いています。

 

草っぱらになっても、小川があっても、小さな丘があっても、避けたりせずにひたすらまっすぐ進みます。

 

 道から逸れたおかげで、お花や野イチゴ…いろいろなものに出会います。

表紙の男の子を見て「なんで裸足なの~!」と言っていたひめは、「ああ、それで裸足なんだね~」と納得。

次は何が起こるかな?ちゃんとおばあちゃんのお家に着けるかな?とめくるのが楽しく、ひめとちびも夢中になっていました。

林明子さんの絵は本当に子どもの表情がイキイキと描かれているので、私はハプニングに驚いて逃げる男の子の可愛さにメロメロでした。

 

まっすぐまっすぐ、と呪文のように唱えた男の子の冒険を受け止めた、結果オーライの最後のページも温かいです。

 

そう言えばカーナビは「道なりに」と言いますね。

子供にはおそらく通じないけど、端的な表現ってあるんだなぁ。

 

難しいことを誰にでもわかる簡単な言葉で。

賢い人は、それができる人だと思います。

「ママは同じこと何度も言うし、話が長いしわかりにくい」と悪評高い私。

伝わるように伝えることの大切さを噛み締めます。

 

でも、やっぱり子どもの勘違いってとっても可愛いから、わざと訂正しなかったりもします(笑)

この絵本もとっても可愛いです。皆さんも是非。

ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ (世界こども図書館B)

ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ (世界こども図書館B)

 

 

自分の名前で悩んだら読んでみて「わたしドーナツこ」

こんにちは。

子供たちの風邪、喘息、中耳炎、インフルエンザ疑惑…で余裕を失っていたくるみです。

時間がなかったわけじゃない。余裕がないと気持ちが切り替えられず、文章を書けない自分。根性と能力が足りない…少し落ち込みます。

 

さて。

みなさんは自分の名前、気に入っていますか?

 

「自分のものなのに他人の方がよく使うもの、なぁんだ?」

となぞなぞにもあるように、人に呼ばれることが大きな役目である名前。

 

愛を持ってたくさんの人に呼んでもらえますように、と親が付けてくれるたった1つの大切な名前。

 

けれど、子どもの頃は名前をネタにからかわれることも多いですよね。

軽い気持ちで言葉遊びのように悪口に使われることもしばしば。

親としては自分が付けた名前で子供が嫌な思いをするのは心が痛いです。

 

では、どんな名前なら、からかわれないのだろう…と考えてもわかりません。

どんな名前でもからかいの対象にはなり得ます。

凶悪犯や人気アイドルと同じ名前になるかもしれないし、何が起こるか未来はわかりません。

そもそも名字は簡単に変えられないわけだし。

 

それに、からかわれないようになんて、ネガティブな理由で名付けもしたくありませんよね。

からかわれるのなんて気にしないで自信を持って生きて行けば、名前の方が付いてきます。

ミュージシャンの名前なども、どんなに変わった名前でも音楽を認められれば、名前もかっこよく感じられるもの。

 

うん、でもそうは言ってもね。

子どもにとっては大問題なんですよね。

 

今日の絵本は、名前で悩む女の子のお話です。

 

1人じゃできないことも…

ドーナツ屋の一人娘どうなつこ。名前をからかわれるのが嫌で学校へ行くのが憂鬱で仕方ありません。「学校に行くくらいなら、本物のドーナツになって食べられてしまったほうがましよ。」と思ったなつこ。次の日起きると大変なことに!!ポップな絵と楽しいストーリーで子供の心情を描いた絵本です。

 

なつこは自分の名前について悩みます。

だって、本名が「どうなつこ」=「ドーナツこ」なんです!

ドーナツ屋の娘、どう なつこ。

 

親も思い切ったな、という名付けです。

なつこはからかわれるのを恐れ、学校に行くのを嫌がります。

もう自分なんて食べられていなくなってしまいたい!と思うくらい悩むのです。

 

子供の頃ってそうですよね。

大人になれば笑い飛ばせることも、とても大きなこととして迫ってきて、追い込まれていきます。

逃げる手段も知らないので、生きるか死ぬかの極論になりがちです。

 

なつこの心配はさらなる不運を呼ぶのですが、それでもなつこは学校に行きます。

行かないという選択肢はなかなか選べないのです。

 

そこまで読んで、同じ親としては切なさでいっぱいです。

 

なつこが親に相談できない歯がゆさ。

 

ドーナツ屋を営むくらいだからきっと両親はドーナツを愛し、誇りを持っているのでしょう。

なつこの名前も愛情を持って付けたのでしょう。

なつこが自分の名前を疎ましく思うことは、名前を付けてくれた親に抗議すること。

 

まあ、名前に限らず、こういうことってあるよなぁ、と思うのです。

親が良かれと思ってしたことが、子供の悩みにつながるようなこと。

 

親の愛情が子供にとって、必ずしも良い方向に働くとは限りませんよね。

 

さてさて、そんな「どうなつこ」ちゃん。

学校に行って、恐れていた通り、からかわれるのです…

 

ところが…

 

ひとりでは負けちゃうことも誰か1人仲間がいるだけで、勇気が出る不思議。

ホッとし、勇気をもらえる展開は現実にも有り得そうで、生きるヒントをもらえ、明るい未来を感じます。

 

ひめはドキドキハラハラしながらストーリーを楽しみ、ちびもたくさん出てくるドーナツの絵を喜んで眺めていました。

明るいポップな絵のおかげで、からかわれる場面も暗い気持ちにはならず、楽しく読めます。

 

大人でさえ、キラキラネームなど、異質と感じるものを揶揄したり、偏見で決めつけたり。

 

外からの攻撃にも負けず、どうなつこちゃんが「名前すぐ覚えてもらえてラッキー」なんて笑いながらドーナツも名前も大好きに育って欲しいな、と思う私です。

 

中身とは関係ないような、意外と中身を表しているような、名前という特別なもの。

 

自分の名前も人の名前も大切に扱いたいですね。

 

わたしドーナツこ

わたしドーナツこ

  • 作者:井上 コトリ
  • 出版社/メーカー: ひさかたチャイルド
  • 発売日: 2011/01/01
  • メディア: 大型本
 

 

 

忘れていた子ども心で追体験「ゆきのひ」

こんにちは。

子供たちと今年の目標を考えていました。

私「あまりにできないことだと途中でやる気がなくなるから、頑張ったらできるかも!くらいのことがいいよ。」

子供たち「わかった」

私「ママは、怒った時でも恐い顔とか大きな声を出さないようにしたいな」

子供たち全員「できないことは目標にしちゃダメだよ!」

……いつも言い争っている子供たちの意見がぴったり揃いました。

理想と現実のギャップを見せつけられたくるみです。

 

さて。

今年も暖冬なのでしょうか。

そこまで寒くはない気がします。

 

冬といえば雪、と連想するひめは、雪を心待ちにしています。

かまくらってどうやって作るの?作って中でこたつ入りたいな〜」

「学校でみんなで雪だるま作ったら、すっごく大きいのできるよね?」

などと、夢は広がるばかり。

 

かまくらは、東京ではなかなか難しいと思うよ…

 

でも、東京で近年大雪が降った年もありました。

あれは何年前だったでしょう?

降り慣れていないので、雪かきの道具も手袋もなくて大変だったことを覚えています。

今年は降るのかな?

 

お正月に帰省した長野では雪を見ました。

降っていたのは少しだけですが、子供たちは興奮して、わざわざ雪を触りに外に出ていました。

 

子供にとって、雪というのは魅惑の遊び道具。

粘土のように形を変えられて、積み木のように積むことができて、ボールのように投げられる、最高のおもちゃ。

 

大人になった今の私は、雪といえば、寒さと静けさ。

初めはきれいなのに、溶けてぐちゃぐちゃになり、薄汚くなるときの残念さ。

そして、交通手段を止め、外出しにくくする足かせのような存在にしか感じられません。

 

雪に心躍らせている子供たちを眺めていると、自分がどれほど大人になってしまったのかを知らされます。

私には、もう雪にときめく気持ちは微塵もありません。

 

大人になるにつれて得たものも多いけれど、実は気付かないまま失ってしまったものもあり、それは、思っている以上に多いのではないかと思うこの頃です。

 

今日は、雪の日を楽しむことができた子供の頃の気持ちを少し取り戻せる絵本です。

 

感情は描かれていないのに

冬のある朝、目を覚ましたピーターが窓の外を見ると、夜中降った雪が積もっていました。ピーターは外へ飛び出し、思い浮かんだことを次々と実行していきます。雪に心躍るピーターの1日を一緒に体感できる絵本です。

 

ドアを開けたら、真っ白な一面の雪!

そんな時。

さあ、まずは何をするでしょう?

 

そう!

絶対、足跡をつけます!(よね?)

何の跡もついていないきれいな雪に足を差し出す瞬間、ザッと雪に沈む足の感触、自分が歩いた分だけへこんだ雪の跡を眺める時。

ワクワクします。

 

ピーターも足跡を付けて行きます。

つまさきを そとへむけて あるいたり、

また、つまさきを なかへむけて あるいたりした。 

内股、がに股、って。

ピーター、ナイス好奇心!

 

次に、ピーターは両足を引きずって歩いてみます。

ああ!わかる!傘なんかも引きずりたくなるよね。

 

そんな感じで物語は進んでいきます。

ピーターは雪を見て、やってみたいことを次々と体験していきます。

それを読んで、私達自身も同じように雪と遊んでいるような気持ちになってきます。

 

物語では、ピーターの細かい表情や感情は出てくることはなく、淡々と描かれているのですが、雪をポケットに大切にしまう様子や帰ってからお母さんに一部始終を報告することからピーターがどんなに楽しかったかがよくわかります。

お風呂でもピーターは何回も何回も雪で遊んだ一日を思い出しています。

 

ひめはポケットに入れた雪が溶けて、ピーターががっかりするのではないかと心配していました。

ひめは、ストーリーの途中で心配事があるとそればかりが気になってしまうようです。

 

それにしても、なぜでしょう。

この淡々とした文章と、静かな優しい色彩の絵で、どうしてこんなに嬉しさ、楽しさ、驚き、ワクワク、がっかりが伝わってくるのでしょう。

 

忘れていた記憶の中の私自身の雪の日の経験と重なるからなのか。

具体的な描写がない方が想像が膨らむからなのか。

 

この余韻。この余白。

心の奥に深く届きます。

 

読み継がれるだけあるなぁと思う1冊でした。

みなさまもぜひ!

ゆきのひ (偕成社の新訳えほん―キーツの絵本)

ゆきのひ (偕成社の新訳えほん―キーツの絵本)