3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(中1)ひめ(小3)ちび(年中))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

誰でもない自分の人生「あな」

こんにちは。

月曜が祝日の週は曜日感覚が狂い、回り回ってなぜだか木曜日が金曜日気分のくるみです。

 

さて。

皆さんは今の人生に満足していますか?

 

突然の重いテーマですみません。さらっと読んで頂ければ幸いです。

 

現在、ほとんど専業主婦の私。

毎日ご飯を作って、食べさせて、送り出し、片付けて、洗濯や掃除して、帰ってきた子供におやつをあげ、習い事の送り迎え…

昨日も今日もたぶん明日も…同じような毎日です。

 

特別、社会に貢献しているわけでもありません。生産性もありません。

 

坐骨神経痛になってからは、お年寄りと一緒に並んでブロック注射を打ったり、マッサージを受けたり。

 

同年代の看護師さんたちに優しい言葉をかけられて、その優しさに泣きそうになり、仕事っぷりに尊敬の念を抱きます。

 

進学校だったため、学生時代の友達は皆バリバリ働いてすごい人生を送っていて、フェイスブックなどを見ると圧倒されます。

もはや羨ましいというレベルでもありません…

 

以前の私なら、周りと比べて自分の不甲斐なさを嘆き、苦しんでいたと思います。

けれど、最近はそうでもありません。

いい意味でも悪い意味でも、顕示欲や出世欲のようなものがなくなりました。

 

いろいろと手がかかったにーさんを産んで育てているうちに自分の内面はかなり変わってきて、それが関係しているのは間違いないです。

年齢を重ねたせいもあるし、マイペースな夫の影響もあります。

また、2011年の災害から、普通に生きていることがありがたいことだと思えたのも大きいです。

 

理由はともあれ、まあこれはこれで自分だなぁ、と思えるようになったのです。

 

なぜ、こんなことを語っているかというと、この絵本を読んで漫然と考えたから、です。

では、とりあえず絵本の紹介を。

 

これはぼくのあなだ。

日曜日の朝、何もすることがなかったのでひろしは穴を掘り始めました。お母さんや妹や友達やお父さんが来て、言葉を交わし、その間もひろしは掘り続けます。掘った穴の中に座っているひろしに、またみんなが話しかけます。淡々と流れる時間とひろしと穴。不思議な世界観の絵本です。

 

ストーリーとしては、ひろしくんが穴を掘る、穴から出る、埋める、それだけです。

 

家族や友達はその姿を興味深く見て、皆それぞれの感想や提案をしますが、ひろしくんは気にせず、掘り続けます。

 

できた穴に座って静けさと土の匂いを感じていると、またみんなはやってきて、穴についてそれぞれコメントを残していきます。

 

そして、空の色が変わった頃、ひろしくんは穴から出て、穴を眺め、穴を埋めます。

 

久しぶりに読み聞かせに参加したにーさんは、「掘ったのに埋めて、1日何してんだよ」とつっこんでいました。

 

そうなんです。本当に、それだけの絵本なのです。

 

なのに、読後も気になって仕方ありません。

 

これは ぼくの あなだ

というひろしくんの言葉が特に心に残りました。

 

それで、前述の話に続く、自分の人生についてを考えることになったのです。

 

もし、人生が穴を掘ることだとしたら…

 

子供の頃の私は、穴を掘り続ければ、特別な何かが起こるはずだと思っていました。

例えば、温泉を掘り当てるとか、油田を見つけるとか、もしくは他の誰かと運命的に出会うとか。

掘っていればドラマティックな何かが起こったり、光差すどこかに辿り着けると思っていました。

むしろ、そこを目指して掘らなければいけないと思っていたのです。

 

そして、思春期や学生時代。どこを掘ったらいいのかわからず悶々とします。

周りの人達は既に大きな穴、深い穴を確信を持って掘っているのに自分は全然掘れていません。

少し掘ってはここではない気がして、途方にくれ、それでもとにかく掘らなければと焦ります。

 

結局、ただなんとなく掘り続けて今に至ります。

後から思えば、違うところを掘ったら良かったかな、という曲面も何度もありましたが、とにかく掘りました。

 

そして、今も掘り続けています。

 

掘り続けたのでとりあえず穴はできます。

 

時々は休憩して見上げたりして。

さらには最後に穴全体を眺めるときに。

 

これは ぼくの あなだ

 

誰のものでもなく自分の穴だなぁ、と思うのは悪くないです。

人生とはつまるところ、そういうものなのかもしれません。

 

 

そんな風に思えるのは自由があるからこそです。ありがたいです。

 

私の拙い文書力で、どれほど伝わるのか、かなり不安ですが、私の思ったことはそんなことです。

 

単純にひろしくんの子供らしい休日の過ごし方を楽しんでもいいし、含みのある絵本なので、私のように何か考えるきっかけにしてもいいかもしれません。

絵本の向き、表紙の穴から眺めた景色も味わい深い1冊です。

あな (こどものとも傑作集)

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