3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(中1)ひめ(小3)ちび(年中))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

群れの中にも個性あり「むれ」

こんにちは。

幼稚園のお友達についてクイズを出すのが好きなちびから、「いま、おとなりのせきは、だれでしょうか?」と出題されました。なかなか当てられないのでヒントをもらうことに。

「さいしょは『あ』だよ」

「うーん。あ…あ…誰だっけ?わからないなぁ。」

「じゃあ、さいごのもじはね……」

もう1つヒントをくれようとするちびですが、最後の文字を考えるのはレベルが高いようです。

しばらく待っていたら、「わかった!」と叫び、

「『くん』だ!!」

と勢いよく言いました。

1文字でもないし…(笑)

つい笑ってしまい、怒られたくるみです。

(ちびは笑われるのが大嫌いなのです(汗))

 

さて。

さいころ、家族で動物の番組をよく見ていました。

記憶に残っているのはヌーの群れが川を渡る様子。

岩に似た、見たこともない角の生えた牛のような動物が、数え切れないほど集まってひしめき合っていた映像。

「角が当たって痛くないのなぁ」「小さい子は渡れるのかな」

と心がざわざわしました。

あんなに命がけで大移動するなんて、動物はなんて大変なんだろう。

 

時を経て、学生の頃、学校が都心にあり、毎日電車で通っていました。

ラッシュよりも少し早い時間でも、かなりの人の量でした。

 遅延が発生したとき、下ってきた階段から見たホームは、ヌーの群れ以上の人・人・人。

ああ。人間も毎日群れで大移動しているんだ、と思ったものです。

 

今はありがたいことに満員電車とは無縁の生活ですが、考えてみれば幼稚園の送迎で集まるママたちも群れですね。

 

集まって同じ行動をする、これは動物の習性なのでしょうか。

 

あまり群れない私ですが(単に友達が少ない)、今日は群れにまつわる絵本です。

 

透明人間の群れを想像して

よのなかにはさまざまなむれがあります。羊の群れ、きりんの群れ、魚の群れ…あれあれ、おばけの群れ?宇宙人の群れ?雨の群れ?途中から不思議な群れになっていき…。群れの中に1つ混じった変わり者を見つける絵探しが面白く、最後の多様なありの群れを眺めるだけでも楽しい絵本です。

 

表紙では、アリが人文字ならぬアリ文字を作ってくれています。

 「むれってなに?」

 ひめが聞きます。

ああ、そうか。そこからか。

 

まずは羊の群れ。

手書きのイラストのような羊がたくさんかかれています。

 いっぴきだけ けが ありません。

「どこ?どこ?」「あ!ほんとだ!!」

絵探しができる絵本でした。

コツをつかんだ子どもたちは、次も探す気まんまん。

絵探しものはうちでは鉄板です。 

 

そんな感じにただただ進んでいくのかと思っていたら、お化けの群れ、透明人間の群れ、雨の群れ…!?

無生物まで現れて、ただの絵探しじゃない!

透明人間の群れって!見えないものを見る心が試されています。

 

さらっと試し読みしたときには、見つけられなかった宇宙人のページも、ひめは「これだ!ほら、周りと違うでしょ?ぜったいこれが『ぴぽぷぽぺ』!」としっかり見つけていました。(謎の『ぴぽぷぽぺ』、ぜひ読んで探してみて下さい。)

子どもの好奇心と興味の力はすごいなぁと感心します。

それを引き出す絵本の力ももちろんすごいです。

 

群れから1匹違う方向へ進んだアリが出会う先は、個性豊かなアリの群れ。

頭・胸・腹の3つの部分が、いろいろな形に変化した、実際にはいない創作のアリたちです。

このページも面白く鮮やかなページ、子ども達を惹きつけるページです。

「おだんごアリはどこでしょう?」

「猫アリはどーこだ?」

勝手にクイズ大会です。

 

同時に、個性豊かなアリたちによって、「世界に1つだけの花」的な個性の魅力も感じます。

群れるのもいいけど、違う方向に歩くことで出会える花もある。

広い世界に飛び出せば、たくさんの未知の個性に会える。

 

そんなメッセージも読み取りつつ…とても楽しめる絵本でした。

 

手書きのかわいい字も印象的で、作者の方はどんな方だろうと思ったら、よしもとの芸人さんでした。

思えば、お笑いのフリップネタなんて、そのまま絵本になりそうですね。

逆に絵本を芸人さんの話術で読み聞かせしたら面白そうだなぁ、とも思いました。

次作も期待です。

むれ

むれ