3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(中1)ひめ(小3)ちび(年中))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

さみしさを希望に変える物語の力「こうくんとちいさなゆきだるま」

こんにちは。

休校中、運動不足になりそうなひめとダンスを踊ることにしました。

踊りたくない芸人顔負けのダンス音痴ですが、「パプリカ」が踊れるようになってきたくるみです。

 

梅や桜の一部の種類は咲き始め、思いがけず子供たちの春休みも始まってしまった今年。もう東京に雪は降らないのでしょうか。

 

空前のドラえもんブームの我が家では、2日に1回は録画したドラえもんのアニメを見ているのですが、2月の回に、ゆきだるまをロボットにする話がありました。

 

壊れた道具を使ったせいで大きな雪だるまロボットが暴れ出します。

それを止めるために、小さな雪だるまロボットが自分の身が溶けるのを覚悟で部屋を温めて大きな雪だるまを溶かす、というお話です。

本当に小さな雪だるまも溶けてしまうため、とても切ないお話なのでした。

 

録画リストから何を見るか選ぶとき、ひめは、その話を嫌がります。

「かわいそうだから見たくない」と言うのです。

 

その横でちびが無邪気に「ゆきだるま、みる〜」と言い、わがままなちびに逆らえず、毎回目に涙を浮かべるひめです。

 

雪だるまは雪だからどの道いつかは溶けてしまうよね…エルサに雪雲でも作ってもらわない限り。

 

そうはわかっていても、悲しいよね。

そんな傷心のひめにぴったりの可愛い絵本がありました。

 

雪だるまは溶けたんじゃない!

雪が積もった朝、こうくんは小さな雪だるまを作りました。お兄ちゃんにすぐ溶けると意地悪を言われたこうくんは心配で眠れません。そうっと窓の外を覗くと、小さな雪だるまに手足が生えて歩いていくではありませんか!?慌てて追いかけたこうくんが辿り着いたのは、たくさんの雪だるまが暮らす雪の町。絵探しも楽しめる夢のある可愛いお話です。

 

こうくんの作った小さな雪だるま。手足が生え、歩く姿が何とも可愛らしいです。

雪だるまが乗る雪で作られたバスの中にはたくさんの雪だるまがいます。

花が付いてるの、マフラーしてるの、目が星の、歯があるの、鼻がニンジンなの…

個性豊かな雪だるまがたくさん出てきます。

 

それを探す絵探しとしても楽しい雪の町の様子。

レストランにプール、商店街。冷たいものだらけの雪の町はひんやりなのに、優しい温かい絵で楽しく描かれています。

隅々までずっと眺めていられるページです。

 

次に丘の上で雪だるまたちがしたことに、ひめとちびは爆笑。

いち、にの、さーん!で…?

とっても愉快な雪だるまたちの遊び(習慣?)が気に入って何度も繰り返し読みました。

 

そうして楽しく遊んだ時間は過ぎ、別れはやってきます。

こうくんは寒いもの、お家に帰らなくちゃ。

ここに残ると言う小さな雪だるまとお別れしなくてはなりません。

ずっと雪だるまといたいけれど、氷のハンバーグばかり食べてはいられません。

 

その別れにひめはまたウルウル。

 

でも、永遠の別れじゃない。

「ここで もっと うーんと おおきくなるよ」

と言った小さな雪だるま。未来に希望を与えてくれます。

裏表紙の裏では再会の兆しも見えて、ひめも安心していました。

 

「自分の作った雪だるまも、雪だるまがたくさん集う雪の町で大きく成長しているかも?」

そう思うと溶けてしまう切なさも感じずにいられます。

 

想像力で、人は救われるものだなぁ、と改めて感じます。

物語を作り、他の人と共有することが、人間が進化を遂げた理由だといいます。

どうにもならないことを前にして、想像力はとても強いものだと思いました。

希望につながる想像力を持ちたいです。

 

雪が溶けてさみしい想いをしている子に、読んであげたい絵本です。

こうくんとちいさなゆきだるま (おひさまのほん)