想像力で旅をする「ジャーニー」
こんにちは。
毎朝、紫陽花に心奪われるくるみです。
年を取るごとに季節の移ろいに気持ちが向くのはどうしてなんでしょう…
さて。
休校中、2年生の課題に取り組むひめに付き合ったことで、ひめが何が得意で何が苦手なのかがよりよく見えてきました。
ひめは作文が得意です。
自由に文を作るという課題ではポンポンと次々言葉が出てきます。
逆に、文章を読み取るのは苦手。
ここでも、にーさんとは正反対だなぁと感じます。
にーさんはインプットがとても得意。
読み取りも速く、記憶もよく、ルールに従って読み解くことも得意です。
けれど、自由に何かをしなければならない場面ではピタッと手が止まってしまうのです。
私も文章は書く方が苦手です。
ブログを書くのもとても遅いです。
読むのもまあまあ遅いですが…汗
小学校の先生に「作文のコツは、とにかくどんどん書くこと。細かい間違いは後で直せばいいのよ」と言われたのを今でも覚えています。
けれど、どうしても表現の細かい点などが気になって前に進めません。
なので、次々と文を作っていくひめに、感心します。
Eテレの「みいつけた!」という子ども向け番組の中で、「おてて絵本」というコーナーがあり、大好きだったのを思い出しました。
園児が両手を開いて絵本を読むように、自分で物語を創作していくのです。
脈絡もなく、オチもない短い話に、いつも引き込まれてしまいます。
そこには、想像力があります。そして、想像した世界を表現する力。
その力に何の意味があるのか…
ここには実在しないものを想像して、想いを巡らすだけの夢物語に。
自分だけが描いている想像の世界を表現して、他の人と共有するただの遊びに。
いったい何の意味があるのでしょう。
この不思議な力で、人類は神話を共有し、協力し、時には洗脳され、ルールや道徳に基づいた社会を作り、ここまで生命を増やして存続してきたそうです。
たった1人の頭の中の想像が、自分を救ったり、たくさんの人を動かしたり、便利な道具を作ったり、まだ見ぬ未来を作っていきます。
巨大な力、想像力。侮れません。
今日はそんな想像の世界が楽しめる絵本です。少女と一緒に想像の世界へいざ。
想像力を形にできる魔法のマーカー
忙しそうな家族に相手にされず、部屋に戻った少女は、赤いマーカーを手にします。マーカーで描いた扉を開くと、そこには別の世界が。少女と一緒にスリルと感動に満ちた冒険へ。
表紙を見て、まず目に飛び込んでくるのは「ジャーニー」という赤い字と、赤いボート。
幻想的で童話に出てきそうなお城のような建物の淡い色彩に、不自然なほど映える赤です。
というのも、この赤こそが、この絵本の要。
その赤いマーカーペンは魔法のマーカーなのです。
はじめに、少女は自分の部屋の壁に小さな扉を描きます。
すると、その赤い扉は本当に開くことができます。
マーカーペンで描いたものは実物になるのです。
そして、扉を開くと、そこはたくさんのランタンのようなものがぶら下がった、不思議な霧の中の森。
幻想的な別の世界が広がっています。
そこで、次に少女が描いたのはボート。
その赤いボートに小さな川を下っていくと、表紙の建物にたどり着きます。
水路が通るその建物は、ジブリ映画に出てきそうな、想像力を掻き立てられる雰囲気を持っています。
川に続くお城の水路をそのまま進んでいくと…
あ、水路が途切れてる!ボートが落ちちゃう!
と、
危機一髪で少女は気球を描き、脱出。
ほっと息をついたのも束の間、空を自由に旋回している尾の長い紫の鳥が現れて、物語は急展開。
紫の鳥を助けたことで、少女は兵士のような人に捕らえられ、マーカーを落としてしまい、絶体絶命か…!
というドラマティックな展開になっていくのです。
実はこの絵本はまったく文がありません。
説明がないせいで、各ページの赤はより映えて、視線が引きつけられ、ストーリーをつかみやすくなっています。
小さい子にもしっかり伝わります。
とても上手いテクニックです。
少女が自分で乗り物を描き、乗り換えていくのが面白く、ひめは「ボートほんとに乗れるんだね」「気球だ!」と楽しんでいました。
紫の鳥の正体は…と読み進められるストーリーも魅力的で、ラストも良く、読後感も心地よいです。
私たちは想像力でつながることができる。
想像力で遊ぶことができ、想いを共有し、笑い合い、より良い未来を創造することができる。
そんな気持ちになります。
建物や飛行船、自然などの絵も素敵です。
皆様もぜひ。