3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(中1)ひめ(小3)ちび(年中))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

世界って大きいんだね「おかあさんともりへ」

こんにちは。

夫が「もしお金に困ってなくて好きなことをして暮らせるならどうする?」と聞くので、「クラフトビール飲みながら、本読んで暮らしたい」と言ったら、「メンタリストDaigoとほとんど同じだね」と言われ、それ以来メンタリストDaigoに妙に親近感を抱いているくるみです。

彼はビールではなく赤ワインだそうですが。

 

さて。

子どもの頃。

自分の経験や常識は、世界共通のもののように感じていました。

たとえば、父親は母親より年上である、とか、朝ごはんにご飯を食べる、とかそんな些細なことです。

少しずつたくさんの人と触れ合う中で、自分の目にしてきたものがただの1例に過ぎないことを知りました。

 

子どもの頃、と言いつつ、私はあまり世間を知らずに育ち、かなり大きくなっても固定観念に支配されていました。

社会人になってから、1日2食でランチを食べないという会社の先輩に、「なんで食べないんですか?!」と、必要以上に驚いて聞いてしまったこともあります。

そして、今もたぶん、まだまだ私の世界は狭く、凝り固まった部分があるのだろうと思います。

 

自分の体験してきたことは世界からしてみればほんの一部に過ぎないこと。

時間的にみても、空間的にみても、全体からみたら点のようなもの。

そんな当たり前の事をわかっているようで、大人もなかなかわかっていないのです。

 

今日の絵本は、世界の広さ、多様性、予想できないたくさんの可能性に思いを馳せることができる、素敵な1冊です。

  

せかいっておおきいんだね 

朝、ヒヒの赤ちゃんのバブーンはお母さんの背中で目を覚ましました。バブーンはお母さんと森で1日過ごします。たくさんのものを目にしてバブーンが感じとった世界のすがたとは?静かな会話と明るい色彩で描かれた魅力的な絵本です。

 

森で、バブーンは興味深くいろいろなものを目にします。 

カメの歩みののんびりさ。

炎の熱さ。

草のやわらかさ。

 

カメを見たバブーンはおかあさんに言います。

「せかいって、ゆっくりなんだね。」

それに対し、おかあさんは、

「ゆっくりの ときも あるのよ。」

と答えます。

その繰り返しの物語です。 

 

このおかあさんの「○○のときもあるのよ」という表現が心地よくて、私は一気にこの絵本が好きになりました。

 

バブーンは見たものを「世界=○○」と、無邪気に学習しようとします。

そんなバブーンを否定せず、多くを語らず、「そういうこともあるよね」、と返す大らかさと誠実さに心を動かされます。

世界は、言葉で表すことができないほど、広く、たくさんの物事を含んでいる。

体験したことも事実だし、それ以外のことも、たくさんある。

バブーンのお母さんの態度は、これからたくさんの体験を通してそのことを知っていく子どもを、見守る親の態度としてあるべき姿のように思えます。

 

ひめは、すぐに決めつけてしまうバブーンを笑い、最後に

「せかいって おおきいんだね」

 と言ったバブーンに「やっと正しいことを言ったね~」とコメントしていました。

 

力のある鮮やかな色彩で描かれた絵は魅力的で、バブーンのつぶらな瞳も可愛いです。

このタッチ、どこかで…と思ったら、ペネロペやリサとガスパールを描いている方でした。

 

まだまだ読んだことのない素敵な絵本がたくさんあるんだ、と思わせてくれた大好きな絵本です。

みなさまもぜひ!

おかあさんと もりへ (世界の絵本(新))

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