3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(中1)ひめ(小3)ちび(年中))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

同調文化に流されない「アナベルとふしぎなけいと」

こんにちは。 

寝かしつけの途中でちびに顔面平手打ちをくらい、大人げなくイラッとしてしまったくるみです。

 

突然ですが、編み物は好きですか?

私は好きです。

上手でもないし、時間もないので最近は編めていないのですが、時間が許すならいつかゆっくりセーターなどの大物に挑戦してみたいなと思っています。

ただ、大きなものってたくさんの毛糸を使います。 そして、毛糸って意外と高価なんですよね。

しかも、何玉買えばいいのか正確にわからなくて、足りなくなったり、中途半端に余ってしまったり。

 

編みやすく可愛い毛糸がその時欲しいだけあったらいいのに。

 

今日はそんな夢のような毛糸が出てくるお話です。

 

それぞれの言葉をその言葉のまま受け止める

雪とすすに覆われた色のない白黒の町で、毛糸を手に入れたアナベルはセーターを編み始めました。それは編んでも編んでも、なくならない不思議な毛糸でした。アナベルは町の人に、動物に、植物に、建物に、たくさんのセーターを編み、町は彩られていきます。

ある日そのウワサを耳にしたおしゃれな王子が毛糸を売ってほしいとやってきて…

 

モノトーンだった絵がアナベルの毛糸によってだんだん明るくなっていき、街全体が変わっていく様子がとても美しいです。

この絵本の毛糸の色が好きです。同じ糸でもそれぞれ違う印象のセーターになるグラデーションのかかったキレイな色。

本当にこんな毛糸が欲しいなぁとうっとり。

 

ネタバレになってしまいますが、読み聞かせの後に、

「話はわかった?どうして王子さまは毛糸を手に入れられなかったのかな」と言ったら…

 にーさん「アナベルが隠しておいたんでしょ」

ひめ「悪い人には見えない毛糸なんじゃない?」

と意見が分かれました。

 

ちょっと頼むよ 小3、5歳の方が話わかってるんじゃないの。アナベルが隠したりはしないでしょ。

正しい解釈は、「分け与えることができる人にしか幸せはやってこない」ってことじゃないかな。

 

と、思ったのですが、後で読み直してみると、にーさん説を否定しなければならない明確な理由も見つかりませんでした。

そうか、アナベルが王子を怪しんで、用心深く隠すってことだってあり得るか、と考え直し、現実主義のにーさんからしたら、正直者にしか見えない毛糸より、アナベルが隠したという方がしっくりくるのかも、と思ったところで…

 

いや待て、そもそも正しい解釈なんて必要なのか、と思い至りました。 

 

人それぞれ感じ方や読み方が違ってもいいはず。1つだけが正しいということはないのに、はなから否定する気持ちになっていた自分に反省です。

危うく同調文化を押し付けてしまう所でした。

 

にーさんの視点で読むと、アナベルと王子の頭脳合戦のような全く違ったストーリーとして読めます。

にーさんが思い描いているアナベルの人物像は最初から私のそれとは違ったのかもしれません。

その辺を掘り下げてにーさんに聞けたら良かったな、と後から思いました。

 

せっかく兄弟で読み聞かせをしているのだから、それぞれの感じたことを共有できるようになれば、もっと面白い読書体験になるような気がします。

その時、大切なのは、つまりこういうことだね、とまとめてしまわず、それぞれの意見をその言葉のまま受け止めることかもしれません。

例え納得できなくてもそういう感じ方もあるんだね、と思うことが大事です。

 

今はひと言感想程度しか聞いていないのですが、少しずつ思ったことを発言し合う場を作れたらいいなと思います。(言いたがらないのでなかなか難しいのですが)

 

その体験で思いを言葉にする力、他の人と意見の違う場合でも発言する力、違う意見もきちんと聞く力を養い、人はそれぞれ違うということを肌で知る機会になればいいなあ、と理想を掲げた今日でした。

 

何はともあれ、色彩の美しい1冊です。

アナベルとふしぎなけいと

アナベルとふしぎなけいと