空高く上がる風船を覚えていますか?「あかいふうせん」
こんにちは。
週末はひめの幼稚園の発表会でした。あまりにも楽しそうに踊るひめに元気をもらったくるみです。
今日はクリスマス会の装飾に使おうと、赤と緑の風船をダイソーで買ってきました。
私が子供の頃は、風船といえば、お祭りやデパートなど、お出かけでもらえる特別なものでした。
(今でもヘリウムで浮かんでいる風船は特別ですが。)
色とりどりの中から1つの色を手に入れた時の嬉しさと裏腹に、手を離したら飛んでいってしまう危うさに怯み、ひもを手首に何重にも巻き付けて持っていた記憶があります。
割らずに飛ばさずに持ち帰れて、天井に放った時の安心感といったら。
こんな記憶は私だけでしょうか。
当時、風船を配っているような場所では必ず、空を見上げると誰かの手からするりと抜けてしまって上がっていく風船の姿がありました。
今は風船が飛んでいかないように配られる時に必ずプラスチックの持ち手が結んであるような気がします。
今思えば、もらった後に何か重しに結んでおけば良かったんだと思います。
あの頃のように、紐だけで渡される風船は最近は見ません。
そういうわけで、空高く上がっていく風船も見ません。
少し残念です。飛んでいくのを見るのが意外と好きだったのです。(無くしてしまった子には悪いけど)
小さく小さくなっていく風船を点になって見えなくなるまで、どこまでいくのだろうと思いながらずーっと見ていました。
(あれは本当にどこまでいくのでしょう?気圧の変化で破裂するのかな…そしたらゴムが落ちてきて事故になったりはしないのでしようか…)
今日はそんなことを思い出した、飛んでいく風船のお話です。
風船を手放す寂しさ
屋根の空いた黄色いバスに赤い風船を持った女の子が乗ります。ところが、途中で飛んでいってしまう風船。バスはバス停でいろいろな動物を乗せつつ、風船を追いかけていきますが…赤い風船に追いつくことはできるのでしょうか。
まずは、絵に吸い寄せられました。
動物たちも風景もリアルではなく、媚びた可愛さもなく、淡々として、イラストのような不思議な絵です。
色使いが優しく、どこか物悲しいです。
文章も物語もシンプルで、それだけに、最後の展開が心にぐっときました。
寂しいまま終わりそうな世界がぱっと明るくなります。
子供たちには、いろいろと納得いかない部分があるようで、にーさんはツッコミまくっていました。
「みなかった?って、自分たちも見えてるでしょ」
「雨降ってないのになんで傘?」
「きりん、風船とれたんじゃないの?」
などなど…
おっしゃる通り。言っていることはわかるのですが、そういう細かいことを気にする絵本ではないのでしょう。
手元にあるものを失うという無常感。
届かないものを追う虚しさ。
たくさんの景色と増えていく仲間。
得られたものの美しさ。
明るい明日の予感。
不思議と、読後にじわじわと心に響いてきます。
失敗をしないように予防することに力を入れる世の中で、飛んでいってしまう風船の寂しさが少し懐かしく、愛おしくすら感じてしまう絵本でした。大人の方も是非。