3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(小4)ひめ(年長)ちび(2歳))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。できる限り2日に1回(だいたい夜に)更新していきます。

やられたらやり返せとはやっぱり言いたくない「せかいでいちばんつよい国」

こんにちは。

一昨日にーさんは10歳になりました。自分の子どもが10代という衝撃に打ちのめされそうなくるみです。

 

今日もにーさんとひめは小さなことでケンカをしていました。

 

ひめが女子特有の口の達者さでちくちく→

にーさんのイライラが溜まる→

にーさんが爆発して攻撃(といっても軽く叩く程度)→

ひめがそんなに痛くなさそうなのに大げさに泣く→

泣き止まず訴えるので仕方なく私が仲裁に入る→

にーさんはそんなに強くぶってないし俺は悪くないと主張

まあこんな感じです。

 

正直、にーさんの攻撃は弱かったし、イライラの中、力を制御したにーさんも偉いとは思います。

ただ、仕返ししてしまった時点で、被害者も加害者もなくなり喧嘩両成敗になってしまうと思うのです。

 

我が家では、仕返しは全面禁止。

やられたらやり返す、はなしです。

 

けれど、にーさんが小学生になり、同級生のママ友と話していたら「やられたらやり返せ」と教えている家も半々くらいの割合であると知り、驚きました。

 

理屈としては、黙ってやられていたらなめられる、男たるものケンカして強くなる、という理論らしいです。

 

私は自分の考えに自信のないタイプなので、それもそうかなと悩みました。

男子の世界では、ケンカして傷だらけになってまた仲直りする、そんな友情もありそうだし(実際には見たことはないのだけれど)。

話し合ってわかる人ばかりでもないのも事実。「やめて」と声をあげている間に刺されるかもしれません。

 

でも。

私としてはやはり、やられたらやり返すは何か違和感があります。

やられてやり返していたら、きりがありません。力尽きるまで戦うのみです。

そして、武力がある方が断然有利の理論です。

 

黙ってやられているのはもちろん違うと思います。嫌な時は嫌だと主張することが大事です。

ただ、不満を伝える手段として、シンプルな暴力より、その他の手段はなかなか難しく、どうしたらいいかわからないままに黙って泣き寝入りせざるを得ないこともあるでしょう。(だからやられたらやり返せというのかもしれませんね。)

なので、主張しても相手にどうしても伝わらない時は、場合によっては第三者の介入も必要だと思うのです。

けれど、子どもの世界ではチクるのは卑怯だというような価値観があります。

 

大人になって暴力を奮われたらすぐ警察に通報するのに不思議だなぁと思います。

 

世界に目を向けても、いつの時代もなくならない戦争や差別。

戦争のない日本でも虐待やいじめなど、なくなることはありません。

大人になっても結局は同じ問題を抱えて生きていかなくてはなりません。

 

ペンは剣よりも強し、などの言葉のように、たくさんの教訓があるのに繰り返される暴力。

 

何ができるわけでもないですが、仕返しや自分の信じる正義のためなら暴力も良しと初めから子供に教えるのは抵抗があるのです。

(弱肉強食の世の中でそんなことを言っていたら生きてはいけないのかな…という迷いもありつつ)

 

今日はそんな報復論も含め、大人も考えさせられるお話です。

 

大きな国に来たら幸せ?

自分の国に来れば誰もが幸せになると思い、世界中を征服していったある大きな国の大統領。最後に残った小さな国に兵隊を送ります。けれどもその小さな国は戦う気はなく、大きな国の兵隊たちは歓迎されました。やがて兵隊たちは小さな国での暮らしを楽しみ始め…可愛い絵で描きつつもシニカルに問題を投げかけてくる絵本です。

 

大統領は自分のため、富のために戦争をしに行くとは言っていません。

あくまでも、自分の国にくればみんなが幸せになれるという大義名分です。

そして国民もそう思っています。

 

正義とは絶対的なものなのか。自分がそう信じているだけではないのか。

正義的なものの胡散臭さを感じます。

 

大統領は落ち込む様子もなくずっと勢いがあり、大統領の考えが間違っているとも明確には書かれていませんが、小さな国の人々が幸せそうに暮らす姿で薄々気付くことができるストーリー。シニカルな運びです。

 

小さな国と大きな国の関係はどうなったのでしょうか。

そのあたりは曖昧なまま終わってしまいます。考える余韻を与えるためなのでしょうか。

 

子供にはどう伝わるのかなと思ったのですが、初めから戦争をする勝手な人として大統領を捉えていたにーさんは、読み終わると「小さな国の文化が伝わったんだね」と少し嬉しそうでした。

 

それぞれの国の文化を尊ぶことや価値観の違いを認めることが大切であり、戦争はその感覚が欠如していると起こるということを、なんとなく感じたのではないかと思います。

 

そしてもう1歩進んで、人と人の関係でも同じことが言えると思えれば嬉しいです。

個人個人、他者と他者。

価値観が違うこと。違ってもいいこと。押し付けないこと。違いを楽しむこと。

私自身、実践できているかは怪しいですが、大切にしたいことです。

 

この絵本、絵はとても可愛いので、ひめも楽しく読めました。征服に行く様子も、くるみ割り人形のような衣装の3頭身ほどの兵隊さんが行進していて、可愛らしいです。(表紙の絵です)

 

悲惨な描写なしに子どもと一緒に戦争で失うものについて考えることができる絵本です。

せかいでいちばんつよい国

せかいでいちばんつよい国