3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(小6)ひめ(小2)ちび(4歳))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

の、でつながる無数の世界を旅しよう「の」

こんにちは。

パプリカと恋ダンスを覚えて、次に子どもと楽しめるダンスがないか検索中のくるみです。

 

不安や不満など負の感情が湧きがちな昨今ですが、お家で過ごす時間が増えたことを前向きにとらえて、絵本を読むのもいいですね。

 

ほのぼのしたり、深く考えたり、思い切り笑ったり、美しい世界に酔いしれたり、宇宙の不思議に圧倒されたり、絵本は大人にも楽しいものです。

 

何度も同じ絵本を読むのも好きですが、読んだことのない絵本に出会うことは刺激的な体験です。 

世の中には私が読んだことのない絵本はまだまだたくさんあって、そんな絵本が待ってていてくれることを嬉しく思います。

 

どんな本も初めて開くときはワクワクします。

 

何事も知ってしまうと知らない状態には戻れない。

なので、初めて読むときの感覚はいつも貴重だなあ、と思います。

 

今日の絵本は、初めて読んだとき、その美しさに心が大きく動くのを感じました。

魅力的な世界観をもっている、大人にもおすすめの1冊です。

 

の、でつながる世界を心が旅をする 

わたしの お気に入りのコートの ポケットの中のお城の…「の」でつながっていく物語。次々にでてくる幻想的な異世界とをつないでいく、魔法の言葉「の」。眺めているだけで嬉しくなる画集のような、美しい絵本です。

 

装丁にもこだわりを感じ、醸し出す上質感。

画集のように、アートな雰囲気を放っています。

 

ひめは表紙を見て、「帽子にいろいろな物が乗ってるよ」と少女の帽子に注目していましたが、題名を探し、

「題名がない絵本なの?」

「あ、あった!こんなに小さいの!?読めないじゃん。」

「金色の文字だね!」

「『の』、だけなの!?」

と、題名だけでもいろいろな発見があり、興奮気味でした。

 

たった1文字の鼻音、静かな題名、「の」。

これは「の」でつながっていく物語なのです。

 

日本語の助詞としての、「の」は次の言葉を修飾するだけでなく、主語を表すのにも使える便利な言葉です。 

 

はじめのページは表紙の少女。

表紙では目を閉じ、歌うように口を開けて「の」と言っているように見える少女ですが、表紙をめくると、帽子を脱ぎ、目を開けています。

その横顔は、凛として、目の前の世界を思慮深く見つめているようです。

何かが始まる予感を感じさせてくれる、素敵な始まりです。

 

その少女の「わたし」から始まる物語。

わたし お気に入りコート ポケットお城

3回ページをめくるだけで既にたくさんの「の」に出会います。

 

少女のポケットから、舞台は想像力を掻き立てる異世界へ。

 

異国、空、宇宙、海を旅して、動物や銀河、人魚や魔女と出会い、懐かしさを感じる学校の教室のシーンを経て、最後には…。

そのストーリーの流れによって、私は、頭の中で数々のおとぎの世界をぐるりとめぐって、最後に、ふっと意識が戻ってくるような、不思議な感覚になりました。

遠いところから、意識がふいに自分に戻ってきたようで、夢から目覚める時のようでした。旅の終わりにも似た感覚です。

 

私はこの最後がとても好きでしたが、ひめは、というと。

 

途中は、

「こんなところにお家がある!」

ハリネズミ、バッグ持ってる!」

「あらいぐま可愛い!」

と楽しそうだったのですが、最後は「どういうこと!?なんかこわい!」と怖がっていました。

 

私は、ひめが怖いと表現したことが興味深かったです。

恐怖とは自分の理解や予想を超えている物について感じる感情。

ひめには想像もしていなかった不可解な展開だったのでしょう。

 

たしかに、この絵本のラストは、急に現実に戻されるような強い感覚があります。

ありがちな展開ではあるのですが、通して読んでみると、ハッとさせられるのです。

その衝撃が、美しい絵や、個性豊かな登場キャラクターたちから受けた印象と相まって、特別な余韻を残します。

私はその余韻がとても魅力的で、何度もページを開きますが、ひめは怖がって今のところ読み返すことはなさそうです。

 

表紙の絵に惹かれた方には間違いない1冊だと思います。

みなさまも是非。 

の (福音館の単行本)

の (福音館の単行本)

  • 作者:junaida
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 単行本