3つのたねに絵本の水を

日々思ったこと、子育てエピソードと共に、3人の子供たち(にーさん(中1)ひめ(小3)ちび(年中))に読み聞かせた絵本を1冊ずつ紹介しています。

の、でつながる無数の世界を旅しよう「の」

こんにちは。

パプリカと恋ダンスを覚えて、次に子どもと楽しめるダンスがないか検索中のくるみです。

 

不安や不満など負の感情が湧きがちな昨今ですが、お家で過ごす時間が増えたことを前向きにとらえて、絵本を読むのもいいですね。

 

ほのぼのしたり、深く考えたり、思い切り笑ったり、美しい世界に酔いしれたり、宇宙の不思議に圧倒されたり、絵本は大人にも楽しいものです。

 

何度も同じ絵本を読むのも好きですが、読んだことのない絵本に出会うことは刺激的な体験です。 

世の中には私が読んだことのない絵本はまだまだたくさんあって、そんな絵本が待ってていてくれることを嬉しく思います。

 

どんな本も初めて開くときはワクワクします。

 

何事も知ってしまうと知らない状態には戻れない。

なので、初めて読むときの感覚はいつも貴重だなあ、と思います。

 

今日の絵本は、初めて読んだとき、その美しさに心が大きく動くのを感じました。

魅力的な世界観をもっている、大人にもおすすめの1冊です。

 

の、でつながる世界を心が旅をする 

わたしの お気に入りのコートの ポケットの中のお城の…「の」でつながっていく物語。次々にでてくる幻想的な異世界とをつないでいく、魔法の言葉「の」。眺めているだけで嬉しくなる画集のような、美しい絵本です。

 

装丁にもこだわりを感じ、醸し出す上質感。

画集のように、アートな雰囲気を放っています。

 

ひめは表紙を見て、「帽子にいろいろな物が乗ってるよ」と少女の帽子に注目していましたが、題名を探し、

「題名がない絵本なの?」

「あ、あった!こんなに小さいの!?読めないじゃん。」

「金色の文字だね!」

「『の』、だけなの!?」

と、題名だけでもいろいろな発見があり、興奮気味でした。

 

たった1文字の鼻音、静かな題名、「の」。

これは「の」でつながっていく物語なのです。

 

日本語の助詞としての、「の」は次の言葉を修飾するだけでなく、主語を表すのにも使える便利な言葉です。 

 

はじめのページは表紙の少女。

表紙では目を閉じ、歌うように口を開けて「の」と言っているように見える少女ですが、表紙をめくると、帽子を脱ぎ、目を開けています。

その横顔は、凛として、目の前の世界を思慮深く見つめているようです。

何かが始まる予感を感じさせてくれる、素敵な始まりです。

 

その少女の「わたし」から始まる物語。

わたし お気に入りコート ポケットお城

3回ページをめくるだけで既にたくさんの「の」に出会います。

 

少女のポケットから、舞台は想像力を掻き立てる異世界へ。

 

異国、空、宇宙、海を旅して、動物や銀河、人魚や魔女と出会い、懐かしさを感じる学校の教室のシーンを経て、最後には…。

そのストーリーの流れによって、私は、頭の中で数々のおとぎの世界をぐるりとめぐって、最後に、ふっと意識が戻ってくるような、不思議な感覚になりました。

遠いところから、意識がふいに自分に戻ってきたようで、夢から目覚める時のようでした。旅の終わりにも似た感覚です。

 

私はこの最後がとても好きでしたが、ひめは、というと。

 

途中は、

「こんなところにお家がある!」

ハリネズミ、バッグ持ってる!」

「あらいぐま可愛い!」

と楽しそうだったのですが、最後は「どういうこと!?なんかこわい!」と怖がっていました。

 

私は、ひめが怖いと表現したことが興味深かったです。

恐怖とは自分の理解や予想を超えている物について感じる感情。

ひめには想像もしていなかった不可解な展開だったのでしょう。

 

たしかに、この絵本のラストは、急に現実に戻されるような強い感覚があります。

ありがちな展開ではあるのですが、通して読んでみると、ハッとさせられるのです。

その衝撃が、美しい絵や、個性豊かな登場キャラクターたちから受けた印象と相まって、特別な余韻を残します。

私はその余韻がとても魅力的で、何度もページを開きますが、ひめは怖がって今のところ読み返すことはなさそうです。

 

表紙の絵に惹かれた方には間違いない1冊だと思います。

みなさまも是非。 

の (福音館の単行本)

の (福音館の単行本)

  • 作者:junaida
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

ウサギ好きにはたまらない!「おどりたいの」

GWに家族で室内用謎解きゲームを体験して、誰より張り切ってしまったくるみです。

いつかリアル脱出ゲームにも行ってみたいです。

 

さて。

ステイホームで家にいるばかりの毎日ですが、インターネットの恩恵に感謝です。

 

両親とテレビ電話でき、運動不足解消のトレーニングも、学習方法も、動画で見ることができる。

 

3食の献立に困ったら、誰かのうちのご飯を参考にできるし、この機会に家をピカピカにしたいと思ったら、上手な掃除方法を調べることができる。

 

手洗いの方法や、最新のニュースも検索すればすぐ見ることができ、買いたいものもだいたいは買える。

(配送に携わる全ての方に心から感謝です。)

 

インターネットがない時代でこの状況だったら、今よりずっと不安で不便で孤独で閉塞感を感じる生活だったに違いありません。

 

それにしても。

 

インターネットのおかげで満たされることと、やはりそれだけでは満たされないことも含めて、

知りたい、食べたい、話したい、買いたい、上手になりたい、楽しく生きたい、きれいになりたい、誰かと仲良くなりたい、誰かの役に立ちたい、誰かに認められたい…

人間の欲望とはなんて果てしないのでしょう。

 

毎日は、不要不急のことだらけ。

基本欲求の食べることだけを考えても、美味しく食べるとか、栄養バランスだとか、付加価値が多すぎます。

どこまでが、直接的に生きることと関係している部分なのか分からなくなります。

 

人間はただ息をして生命を繋いでいるだけではいられない。

良くも悪くも、多種多様の欲求を満たすために、知恵を使い、互いに協力して生きているのですね。

 

他の動物はそんなことはなく、今の瞬間を生きているのでしょうか。

何が生命維持の欲求なのか、など考えずにただ瞬間瞬間の欲求に忠実に、与えられた時間を生きる動物たち。

考え過ぎる日々を送っていると、それも羨ましい気がします。

 

けれど、今日の絵本は、可愛い欲求を抱いたウサギさん。

おどりたいの

ストレートな題名や表紙からして、とにもかくにもウサギがたまらなく可愛い絵本です。

 

ウサギの魅力が止まらない

森のはずれに美しい音楽の流れてくる建物がありました。その建物が気になって仕方ない白い子ウサギは、ある晩覗いてみることに。すると、そこは女の子たちのバレエの練習場でした。「なんてきれいでかわいいの」そう思った子ウサギは…。ウサギの可愛さがたまらない、ウサギ好き必読の絵本です。

 

丸いキラキラした目、赤いほっぺ、ふわふわのしっぽ。

そんな愛らしいウサギが興味を持ったのはバレエ。

 

美しい音楽とひらひら揺れるシュシュや女の子たちの動きに惹かれたのでしょう。

バレエを目にして、ウサギの目は一層輝いて映ります。

 

ウサギの「おどりたい!」という純粋な気持ちを通じて、やはり、何かをしたい!という気持ちはかけがえのないものだと感じます。

理想の自分を描いて、努力したり、その過程を思い切り楽しんだり、結果を得て達成感を感じる。

そういうことが人生においては大切です。

 

踊りたくて練習する子ウサギの、懸命に頑張る姿や失敗してコテンと転がる姿が、またまた可愛くて可愛くて…

 

さらには1羽だったウサギに加えて、

いいなあ わたしたちも おどってみたい

と、たくさん集まってくる小ウサギたち。

ちょっと太ったのんびりした子や、グレーや茶色の毛の子ウサギや…

可愛いの渋滞です。

 

ちびはウサギが大好き。

といっても実物のウサギはほとんど見た事がないのですが、ぬいぐるみや絵本、テレビで見ると必ず反応します。

「うさぎかわい~!」と言って抱き着くちびに、女子を感じます。

生まれ持った可愛いものセンサーと「かわい~!」という言葉。

誰も教えてないのに、小さい女子高生のようなちび。

 

その可愛いものセンサーに引っかかってしまうウサギの魅力。

私も大好きです。

もふもふしていて、小さい口ではむはむ食べて、実物もちゃんと可愛い動物ですよね、ウサギって。

母性本能をくすぐる何かを持っているのでしょうか…不思議です。

 

洗練された清潔感のある優しい絵と、愛らしさ溢れるウサギ、バレエの華やかさ。

女の子の本能をくすぐる絵本です。

ウサギ好きなちびはもちろん、ネコが好きなひめも「かわいい〜!」の連発でした。

 

ウサギ好きには絶対おすすめです。

おどりたいの

おどりたいの

 

 

表紙とのギャップ萌えにやられる「うえきばちです」

こんにちは。

久しぶりに、にーさんの髪をお家カットしました。世の中に、アシンメトリーな髪型が存在することに感謝したくるみです。

「左右違うね」と言われても「そういうデザインなの。」と返せる有り難さ。

 

さて。

更新が滞ってしまいました。

ご無事で過ごされているでしょうか。

 

ありがたいことに、私は元気です。

ただ、変化した生活に対応できず、ブログを書く時間をとれませんでした。

 

うーん、それだけではないですね。 

現実的に主婦の仕事が増えたのはその通りなのですが、精神的にフワフワグラグラしていて文章が思い浮かばなかったような気がします。

気分転換が下手なので、何かで頭がいっぱいになると、他のことがうまくできないのです。環境の変化も苦手です。

 

そんな中ですが、去年の足の痛みが忘れられないので、早朝のウォーキングは続けています。

歩いていると目に飛び込んでくるのが、家々の花壇の色とりどりの花。

遊歩道の木々の緑は日増しに青々として、紫陽花の葉っぱも大きくなり、すずらんスイセン、あやめに咲き始めたつつじやバラ…。

植物界は今まさに色彩豊かな季節を迎えています。

 

ありふれている感想ですが、

植物は人間とは関係なく、着実に日々を生きているんだなと思います。

 

さて。

今日は、植木鉢に植えた植物…植物??のお話です。

 

植えたのは…?

植木鉢に土を入れて、中に植えたのはなんと、のっぺらぼう!毎日水をやっていたら、めが出てはが出て…少し気持ち悪く面白い展開に子どもたちも虜になってしまう絵本です。想像力を掻き立てるラストも秀逸です。

 

表紙には茶色い植木鉢。

花の模様が描かれていて、なんだか可愛いです。

 

お花を植えるのかな、と思いきや、登場したのは、アンパンマンの頭のような、うすだいだいのまん丸いのっぺらぼう。

 

のっぺらぼうはもともと植えるものだとでも言うような、淡々とした語り口の効果もあり、2度見しちゃいます。

 

え?何?今のっぺらぼうって言った?

と。

 

「え〜なんで〜!?」

最初から、ひめもびっくり。

 

めが出て…

はがでて…

 

「あ、そういうことか!次はハナだね?」

と予想したひめも、耳や髪の毛までは想像できず、「変なの〜(笑)!!」とケラケラ笑っいました。

恐がるかなと思っていたちびも一緒に楽しんで、最後の展開にも恐がることなく読み終え、「もう1回!」とアンコールをもらいました。

 

よく見ると、裏表紙にはテディベアのような可愛いクマまで描かれたじょうろがありました。

一見可愛らしい印象を与える外と中身とのギャップが憎いです。

 

女子でこれだけ楽しめたので、男子ならもっと楽しめるのではないでしょうか。

 

のっぺらぼうのあっという間の成長とダイナミックな絵がコミカルで、大人の私も引き込まれてしまいます。

「もう1回!」の気持ちがわかります。

 

そして、子どもたちの笑い声に勇気をもらえました。

深い意味を持たずにぐいぐい世界に引き込んで笑えるような絵本は、今はとても有り難いです。

 

医療や生活を支えるために頑張って下さっている方々には本当に感謝しかありません。

 

そのような方々や、逆に働けない方、病気の方などに比べれば微々たるものですが、今は誰しもが何かしらのダメージを負っているかと思います。

ステイホームしかできない自分の不甲斐なさを落ち込みながら、感染の不安に怯えて過ごしても、家時間をできるだけ楽しもうと笑って過ごしても、同じ1日。

元気があるなら、たくさん笑って前を向いて暮らしたいですね。

うえきばちです

うえきばちです

  • 作者:川端 誠
  • 発売日: 2007/09/01
  • メディア: ハードカバー
 

 

所有することが全てではない「ましろとカラス」

久しぶりの更新になってしまいました。

こんにちは。

夕食前に干し芋を食べたがるちびに、「ごはんが食べられなくなるから今はダメだよ」と言ったら、「おいもたべなくてもごはんたべないから、おいもたべさせて。」と驚きの反論をされたくるみです。

 

さて。

いつの間にか桜の花も満開。春ですね。

 

寒がりの私はいまだに靴下を2枚履いていますが、優しいパステルカラーに惹かれる今日この頃です。

 

ところで、みなさんは、素敵だなと思う服を着ていますか?

 

パステルカラーのTシャツや、夏のショートパンツに、ノースリーブのマキシワンピース、サロペット…

雑誌などで見ると素敵なのですが、身長が低い子供体型の私にはどれもいまいち…。

 

大きな柄や、大きな飾りのピアスも、印象の薄い塩顔の私には、全然似合いません。

 

着こなしている人を見ては、ああいいなぁといつも羨ましく思います。

 

そんな私でも、以前友達に、「そんなスニーカーが似合っていいなぁ。私が履くと似合わないんだよね」と言われたことがあり、自分以外の人もそれぞれあるんだなぁと思いました。

 

その人が身につけているから輝いて見える、みたいなこと、ありますよね。

 

今日はかわいい音のする鈴を持っているこやぎと、その鈴が欲しくなってしまうカラスのお話です。

 

手に入れなくてもそばにいれば…

真っ白なこやぎのましろは首に鈴をつけています。カロロンカロロン、いい音のする鈴。その音に惹かれ、鈴が欲しくなったカラスは、ましろが断っても毎日交換できそうなものを持ってやってきます。ところがある日、なかなかカラスが来なくて…。ふたりに芽生える友情が微笑ましい絵本です。

 

初めは少し迷惑そうだったのに、途中からカラスとのやりとりを楽しんでいるましろの無邪気さ。

毎日あれやこれやといろいろな物を見つけては、交換して欲しいと持ってくるカラスのひたむきさ。

カロロンカロロン、と軽やかな鈴の音。

とても愛らしい世界観を持っているお話です。

 

偶然にも、とうとうカラスが鈴を手にしたとき、鈴はましろの首で鳴っていたような素敵な音で鳴りません。

 

羨ましいと思って手に入れた物が自分に合うとは限らない、ということでしょうか。

 

物でなくてもそう。仕草、言葉、仕事、周りの人達、等でも、その人だからこそ輝くものがあります。

 

そして、例えばましろの鈴のように、鈴の音が好きならば、鈴を手にするのではなく、ましろのそばにいる、という選択肢もあるのだなぁ、と思いました。

 

なんでも所有すればいいわけではないのですよね。

自分に合うのか、使いこなせるのか、何に惹かれているのか、を見極めることが大事なのかもしれません。

 

ひめは、大事な鈴を失ったましろを心配して、ハラハラしていました。

とにもかくにも、悲しい出来事が起こって欲しくないひめです。

 

ちびは可愛い絵が気にいったようで、ましろに「かわいい!」と一目惚れしていました。

跳ねている様子は本当にキュートです。

 

どうなるんだろうと引き付けられるストーリーと可愛い世界観が素敵な絵本です。

 


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さみしさを希望に変える物語の力「こうくんとちいさなゆきだるま」

こんにちは。

休校中、運動不足になりそうなひめとダンスを踊ることにしました。

踊りたくない芸人顔負けのダンス音痴ですが、「パプリカ」が踊れるようになってきたくるみです。

 

梅や桜の一部の種類は咲き始め、思いがけず子供たちの春休みも始まってしまった今年。もう東京に雪は降らないのでしょうか。

 

空前のドラえもんブームの我が家では、2日に1回は録画したドラえもんのアニメを見ているのですが、2月の回に、ゆきだるまをロボットにする話がありました。

 

壊れた道具を使ったせいで大きな雪だるまロボットが暴れ出します。

それを止めるために、小さな雪だるまロボットが自分の身が溶けるのを覚悟で部屋を温めて大きな雪だるまを溶かす、というお話です。

本当に小さな雪だるまも溶けてしまうため、とても切ないお話なのでした。

 

録画リストから何を見るか選ぶとき、ひめは、その話を嫌がります。

「かわいそうだから見たくない」と言うのです。

 

その横でちびが無邪気に「ゆきだるま、みる〜」と言い、わがままなちびに逆らえず、毎回目に涙を浮かべるひめです。

 

雪だるまは雪だからどの道いつかは溶けてしまうよね…エルサに雪雲でも作ってもらわない限り。

 

そうはわかっていても、悲しいよね。

そんな傷心のひめにぴったりの可愛い絵本がありました。

 

雪だるまは溶けたんじゃない!

雪が積もった朝、こうくんは小さな雪だるまを作りました。お兄ちゃんにすぐ溶けると意地悪を言われたこうくんは心配で眠れません。そうっと窓の外を覗くと、小さな雪だるまに手足が生えて歩いていくではありませんか!?慌てて追いかけたこうくんが辿り着いたのは、たくさんの雪だるまが暮らす雪の町。絵探しも楽しめる夢のある可愛いお話です。

 

こうくんの作った小さな雪だるま。手足が生え、歩く姿が何とも可愛らしいです。

雪だるまが乗る雪で作られたバスの中にはたくさんの雪だるまがいます。

花が付いてるの、マフラーしてるの、目が星の、歯があるの、鼻がニンジンなの…

個性豊かな雪だるまがたくさん出てきます。

 

それを探す絵探しとしても楽しい雪の町の様子。

レストランにプール、商店街。冷たいものだらけの雪の町はひんやりなのに、優しい温かい絵で楽しく描かれています。

隅々までずっと眺めていられるページです。

 

次に丘の上で雪だるまたちがしたことに、ひめとちびは爆笑。

いち、にの、さーん!で…?

とっても愉快な雪だるまたちの遊び(習慣?)が気に入って何度も繰り返し読みました。

 

そうして楽しく遊んだ時間は過ぎ、別れはやってきます。

こうくんは寒いもの、お家に帰らなくちゃ。

ここに残ると言う小さな雪だるまとお別れしなくてはなりません。

ずっと雪だるまといたいけれど、氷のハンバーグばかり食べてはいられません。

 

その別れにひめはまたウルウル。

 

でも、永遠の別れじゃない。

「ここで もっと うーんと おおきくなるよ」

と言った小さな雪だるま。未来に希望を与えてくれます。

裏表紙の裏では再会の兆しも見えて、ひめも安心していました。

 

「自分の作った雪だるまも、雪だるまがたくさん集う雪の町で大きく成長しているかも?」

そう思うと溶けてしまう切なさも感じずにいられます。

 

想像力で、人は救われるものだなぁ、と改めて感じます。

物語を作り、他の人と共有することが、人間が進化を遂げた理由だといいます。

どうにもならないことを前にして、想像力はとても強いものだと思いました。

希望につながる想像力を持ちたいです。

 

雪が溶けてさみしい想いをしている子に、読んであげたい絵本です。

こうくんとちいさなゆきだるま (おひさまのほん)
 

 

あなたは何がすきかしら?「わたしのすきなもの」

こんにちは。

♪明かりをつけましょ もものはな〜♪

あれ?ぼんぼりは?ちびが歌うと歌があっという間に終わってしまいます。

ひな祭りは毎年ちらし寿司の素に感謝のくるみです。

 

先日、母と話していたら、今日感じた幸せを3つ書く日記を始めた、とのこと。

後ろ向きで愚痴ばかりだった母が自分の力で何かを変えようとしていることに、感動をしながら話を聞きました。

 

けれど、やはりネガティブな母らしく、全然思い付かなくてストレスを感じているらしいのです。(結局、愚痴(笑))

 

負けじとネガティブな私も、実は以前その方法で日記を付けたことがあり、あっという間に挫折しています。

 

幸せを感じることのバリエーションが少ないのです。

 

母は食べ物ネタがほとんどだと言っていました。

私は子供の成長か健康のことだったと思います。

 

今思うと、「幸せ」って言葉が特別感が強すぎるからだと思うのです。

 

例えば、食べて幸せを感じる食べ物、というと、予約して行ったレストランの一皿とか、ずっと我慢していたチョコレート、お風呂上がりののビールだとか、もしくは思い出の〇〇のような思い入れのある味を連想してしまいます。

 

日記に書くのは「すき」くらいがいいのではないでしょうか。

 

すきな食べ物なら、梅干し、炊きたてのご飯、まだ青いバナナ、ふたについた少し固めのヨーグルト…など、幸せ〜ってほどじゃなくても地味でも毎日食べていても何でもいくらでもあげられます。

 

そして、不思議なことに、自分が好きなものをリストにして眺めているだけで、気分は上がります。

 

そのことに気づいたのは、この絵本のおかげです。

好きなものを並べただけなのに、嬉しくなっちゃう絵本です。

 

あなたは何がすきかしら?

おいしいものがすき。ピクニックがすき。なつやすみがすき。あなたは何がすきかしら?好きなものがたくさんあるってとっても嬉しい。好きなものを見つけるととっても楽しい。心地よい言葉と優しくて温かな絵で綴られた絵本です。

 

女の子が自分の好きなものをあげていきます。

いきものがすき、うちのねこのミネットがすき、ひとがすき。

すきなものについて語る女の子はとても嬉しそうに見えます。

 

そして、そのリストを見ると、女の子の人となりがみえてきます。

どんな生活を送っているのかを想像することができます。

 

何がすきかということは個性です。

誰かを知るためには、その人のすきを知るのが1番。

 

自分と同じで共感したり、自分と違って驚いたり、目にもとめなかったものに目を向けたり。

人の好きを知るのって面白いです。

 

たくさんのすきを並べて女の子は言います。

 ほらね わたし すきなものが こんなに いっぱい あるの

あなたの すきなものは なあに?

 

ひめ「図工でしょ、あとチョコと、スポンジボブ、あと、パパと…」

ちび「うさぎ、ねこ、おやつ、ドラえもん、パパ、…」

好きなものがあることって嬉しい。

幸せなんておおげさじゃなくても好きを絵本にして眺めたら、毎日楽しい気持ちになるでしょう。

すきは生きる原動力。希望を感じます。

 

家族でそれぞれ作ってみてもいいかもしれませんね。

みなさんもぜひ。

わたしのすきなもの

わたしのすきなもの

 

 

自然って、いいなぁ!「つばきレストラン」

こんにちは。

もう3学期が終わってしまうのでしょうか。

地に足が付いていないようなふわふわとした状態ですが、平常心を忘れずに、自分にやれることを落ち着いてやろうと深呼吸するくるみです。

生きているといろいろなことがありますね。

 

さて。

12月にレース糸で椿の花のピアスを作り、気に入ってよく付けています。

花の少ない季節に真っ赤な花を咲かせて冬空を彩る、椿。

椿油など、髪に優しいイメージも相まって、女性らしい華麗な印象の花です。

ぽとっと花が落ちる姿は少し不吉ですが、潔い姿に芯のある美しさも感じます。

 

花を育てたり、家の中に飾るのは苦手なのですが(私の手にかかるとすぐ枯らしてしまうので…)、花を見るのは大好きな私。

近所に咲く椿に立ち止まり、パワーをもらっています。

 

心落ち着かないこのごろは、人混みを避けて、お散歩もいいですね。

 

小鳥のためのレストラン

冷たい風が吹いてくる寒い寒い冬につばきレストランは開店します。メニューは1つ。花の蜜。チルチルチルチル。お客さんがやってきました。鳥と花の関係に目を向け、自然の尊さに気付かされる絵本です。

 

冬の寒い間に甘い蜜を提供してくれる椿。

レストランという表現によって、鳥にも花にも気持ちを寄せることができます。

 

椿にとって、鳥はお客さん。

「甘い蜜ここにあるよ、うちは寒い日も営業中だよ。どうぞゆっくり食べていってね」という店主のような感じかな。

 

鳥にとって、椿はレストラン。

冬の空気を羽根で切り、「ああ、寒いね、今日も。ちょっと温かいものでも食べていこう。やってる?」みたいな?

 

身近な場所で、そんな商いが成立していると思うと楽しくなります。

 

私達にとっては冬の寒さに映える美しい椿。

鳥にとっては、寒い中営業している屋台のように見えるのかもしれません。

 

ひめは、「ほんとにつばきがレストランってことなんだね。つばきって名前のレストランの話かと思った!」といっていました。

つばきレストラン、ってレストランもなんだかいいな。読んでみたい。

 

私は、表紙の絵が好きです。

字のフォントのデザインも素敵です。

 

暖房や防寒具などない生き物が、寒い冬を超えるということ。

助け合って生きている自然の摂理に感服します。

 

著者の方の説明書きにもあるように、「自然って、いいなぁ!」と感じさせてくれる絵本でした。

 

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つばきレストラン|福音館書店